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解説!棚卸しの目的や実施方法

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投稿:2018/06/20 更新:2023/08/29

 

企業の在庫を確認し、正確な利益を計算するために「棚卸し」は欠かせません。多くの企業が定期的に棚卸しを行い、在庫の把握に努めています。一方で、棚卸しを行ってはいるものの「今ひとつ意味が分からない」、「効率的な方法を知らない」という企業もあるでしょう。日々の営業活動の精度を上げ、利益率を高めるには棚卸しの知識を深めるのがおすすめです。この記事では、棚卸しについての基礎知識や棚卸しの目的、実施方法について説明します。

■まず知っておこう!棚卸しについて

棚卸しとは現物を確認して数量・評価などを現実に把握するための手段です。販売店などでは売り場に出ている商品、倉庫に納めている商品をカウントして棚卸しを行います。一方、物流部門では定期的に在庫を数え、正確な数量を割り出します。棚卸しの時期としては「期末」と「期首」が一般的です。年度の頭などで棚卸しを細かく行い、「現時点での在庫状況」を確認します。そして、年度の終わりの棚卸しで「期首との差」を調べます。棚卸しは、企業にとっての経営戦略、販売計画が上手くいったかを確認する一つの指針となりえます。
棚卸しの対象となるのはまず「在庫品」です。全体の在庫品の数を把握するだけでなく、どれだけ在庫品を分類できるかが、棚卸しの成否を握ります。たとえば、賞味期限のある食品を大量に保管している物流があるとして、単に数を計上しても大きな意味がありません。賞味期限ごとに商品数を分類していくと、「どれだけの数を早く出荷しなければいけないか」、「その際、元の売値でも販売可能か」、「処分しなければいけない数がどれほど出てくるか」などのポイントが見えてきます。このように、商品の状態を記録し、販売計画に生かすのが「評価」です。
つぎに、「原料」、「資材」も棚卸しの対象です。原料や資材にも消費期限のある場合が多いため、頻繁にストックを確認しなくてはいけません。仮に、消費期限を超えている資材を使って商品を製造してしまうと、耐久性などに問題が出かねないからです。また、製造量に対して十分な原料・資材を確保できているかも棚卸しによってチェックできます。
「消耗品」も棚卸しのときに計算されます。消耗品は工場などで使用する紙、道具はもちろんですが、日々の事務用品も細かく数える場合も珍しくありません。消耗品は確定申告で「経費」に計上できるため、たとえ安価な品物であっても無視していいわけではないのです。コピー用紙やシャープペンシル、ボールペン、消しゴムなどを会社でストックしているなら、棚卸しの機会に正しく数えましょう。封筒、切手、便箋なども消耗品に含まれます。
棚卸しの結果は「棚卸表」につけていきます。物流倉庫などの巨大な場所で棚卸しする際には、手分けしてチームごとに「棚卸表」を作成し、最終的に内容を合算して正式な「棚卸表」を提出します。在庫や資材が多くなればなるほど、棚卸しの苦労は大きくなっていきます。そのため、いかに余裕を持って棚卸しをスケジューリングし、人手を手配できるかが肝心です。
そうはいっても、通常業務と並行して棚卸しの準備を進めるのは簡単な作業ではありません。致し方なく、期限が迫ってからあわてて棚卸しに追われている企業も多いのが現状です。ともすれば棚卸しは物流部門の負担になりがちで、効率化の必要性が叫ばれています。ちなみに、棚卸しの主な方法は2種類ですが、その内容については後の段落で詳しく解説します。

■なんのため?棚卸しの目的

棚卸しの目的を自覚すると、より慎重に作業を進められるでしょう。まずは、「利益の計算」が大きな目的です。企業の利益とは単純計算で「売上-原価」で求められます。しかし、売上に対して「原価」の形状に手間取っている企業は少なくありません。なぜなら、「原価」とは「仕入額」をそのまま指すのではなく、あくまで「売上になった商品に対する仕入額」を指すからです。
以下、例を挙げます。食品会社Aがスナック菓子を製造するために、1個あたり100円、計1万個で計100万円の仕入れを行ったとします。そして、200円の商品を1万個製造しました。これが全部売れたとして、利益は「200万-100万円」で「100万円」です。しかし、実際には作った数だけ商品が売り切れるケースはほとんどありません。A社の場合だと、7000個しか商品が売れませんでした。すると、売上は140万円ですが、利益の計算式は「140万-100万円」となりません。7000個分の原価は70万円なので、利益は「140万-70万」で「70万円」となるのです。つまり、売上数はもちろん、正確な原材料の在庫数も分かっていなければ利益は計算できないといえます。ちなみに、棚卸しによって判明する在庫品の総額を「棚卸高」と呼びます。そして、売上の原価は「期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」」という公式で算出可能です。
つぎに、「滞留在庫」や「不良在庫」の把握も棚卸しの重大な目的です。経営を続けていると、長期間出荷されないまま、物流に留まり続けている在庫があります。これを「滞留在庫」と呼びます。そして、何らかの理由で販売できる可能性がなくなったまま、物流でスペースを取っている商品が「不良在庫」です。滞留在庫は「人気がなくなった」、「多く作りすぎた」などが売れない原因なので、工夫しだいでなんとか市場に出荷できることもあります。「ワゴンセール」や「ノベルティとしての再利用」などが主な処分方法です。ただし、不良在庫はそのまま売れることがないため、廃棄も検討しなければいけません。滞留在庫にせよ不良在庫にせよ、物流のスペースを割いて企業の重荷になっているのは同じなので、棚卸しにより数を把握するのは大切です。
そのほか、「在庫を経営判断に役立てる」のも、棚卸しの目的でしょう。棚卸しによって明らかになる在庫状況は、経営戦略の結果です。経営陣としては「どんな商品が売れ残ったのか」、「なぜ売れ残ったのか」に向き合わなくてはいけません。また、一見販売数が少ない商品でも、在庫数を見れば「需要があるのに応えられていない」と分かることもあります。棚卸しは会社の現状を見極めるために大事な作業であり、「棚卸表」は経営陣に重宝されます。

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■棚卸し方法1!「実地棚卸」

店舗や倉庫にある在庫をカウントし、一緒に質のチェックも行う作業が「実地棚卸」です。「実地棚卸」の手順はまず、緻密な「準備」から始まります。棚卸し日が決まった時点で、日程を担当部署に伝えて共有するのが肝心です。棚卸し日にはシフトを集中させ、当日に人手が不足しないように調整します。アルバイトやパート、派遣社員を臨時で雇用する企業も少なくありません。また、日中が忙しい会社では、普段なら終業している夜間に棚卸しを行うケースも出てきます。従業員の了解を得て、各々スケジュールを合わせてもらうようにします。
棚卸しが少しでもスムーズに終わるよう、当日までに現場でさまざまな工夫をこらすのも大切です。たとえば、棚の向きを揃えたり、荷物をあらかじめ片づけておいたりして、当日を待ちます。棚の「番号付け」を実施している物流も多数あります。棚に「Aブロック」、「1番棚」などの呼称を振っておけば作業が分担しやすくなり、作業がはかどります。そのほか、こまめな整理整頓、掃除なども棚卸しには欠かせません。
棚卸しの本番を迎えると、物流は一時的に入出庫をシャットアウトします。よほど緊急で特別な事情がない限り、棚卸し作業中に在庫数を変動させることはありません。そして、従業員やアルバイトが手分けし、棚ごとの在庫数カウント、評価を続けていきます。棚卸しの内容は「棚卸表」に記入し、ブロックごとに回収していきます。「棚卸表」がすべて回収され、「商品受払台帳」に記載されれば棚卸しは完了です。
「実地棚卸」のメリットは、ノウハウのない人間にも手伝ってもらえる点です。在庫をカウントするだけなら、それほど現場に詳しくないアルバイトやパートにも任せられます。ただし、在庫の評価を慎重に行わなくてはいけない職場では、短期アルバイトの手を借りるのは難しいでしょう。また、「作業の労力が大きい」のもデメリットです。ともすれば、何日かかけて棚卸しに追われる物流部門もあるため、従業員のストレスになりがちです。

■棚卸し方法2!「帳簿棚卸」

帳簿を使ったり、専用のソフトウェアを利用したりして、正確な在庫数を日々カウントしていく作業が「帳簿棚卸」です。「帳簿棚卸」は一定期間のみ集中して取り組むタイプの作業ではありません。物流部門であれば、普段から確実に入出庫を管理し、数字の漏れがないように意識することが「帳簿棚卸」だといえます。かつて棚卸し用の台帳は手書きが主流でしたが、時代とともにエクセルや専門のソフトウェアで棚卸しを行っている企業も増えています。
ただし、「帳簿棚卸」をしていれば「実地棚卸」をしなくていいというわけではありません。むしろ、往々にして帳簿と実地で在庫数が異なるケースが出てきます。原因はさまざまであり、すぐに判明しないときもあります。「事故で商品が破損した」、「実地棚卸で計算を間違えた」、「盗難にあった」などあらゆる可能性が考えられますが、経営陣に正確なデータを渡し、物流部門の信用性を損なわないためには原因の追究も立派な仕事の一つです。そして、棚卸しの精度を高めるためには帳簿と実地の両方を行うのは必須です。
それでも、「帳簿に入力ミスがあった」、「記入漏れがあった」などの問題があると、原因を明らかにするのは難しくなります。帳簿データを遡り、過去の記録を一個一個確かめていかなくてはいけません。そうなると、なかなか作業が終わらなくなります。「帳簿棚卸」は責任重大な仕事だけに、安易にはアルバイトやパートに任せられず、一部の専門職に負担が集中しがちです。
「帳簿棚卸」の精度を高めるためには、入庫や出庫があれば後回しにせず、すぐにデータを記録する習慣をつけるようにします。そして、「数が合わないときは帳簿をごまかす」といった行為に陥らないのが肝心です。実地の数に合わせて帳簿を直せば、確かに棚卸しは早く終わります。しかし、原因が究明されていないのでまた数字が狂う危険がありますし、「無くなったはずの在庫が思わぬところから出てきた」などの事態には対応しきれません。「帳簿棚卸」では、スキルだけでなく几帳面な意識も問われています。

■棚卸しアウトソーシングでコスト削減!

健全な経営のために棚卸しは欠かせない作業です。しかし、多くの企業が棚卸しについての悩みを払拭できていません。棚卸しは時間もコストもかかる作業です。通常業務と棚卸しを並行して行うのは困難であり、どうしても従業員に残業や休日を要請しなければいけなくなりがちです 。しかも、普段の人員だけでは作業が行えない場合、新たにスタッフを手配しなければいけません。不可欠な作業とはいえ、短期間で莫大な人件費を割かれるのは、企業にとって痛手です。
しかも、棚卸しは経験やノウハウが蓄積されにくい傾向があります。在庫の分類は時期によって違うため、あるタイミングで行った棚卸しの方法が、別の時期にも有効とは限りません。率先して現場を仕切れる人が生まれにくいので、棚卸しをするたびに現場は混乱し、手間が増えていくのです。「帳簿棚卸を徹底しておけば、実地棚卸が楽になる」という人もいるでしょう。しかし、「帳簿棚卸」はミスなく入力作業を行えるだけのスキルが要求されるため、現場によってはなかなか担当にふさわしい人材が見つかりません。また、どんなに帳簿を正しくつけても、「実地棚卸」を避けられるわけではないのです。
こうしたデメリットを回避するには、「物流アウトソーシング」の利用も検討してみましょう。アウトソーシングによって、物流に関するさまざまな業務を引き受けている代行業者があります。こうした業者には棚卸しなどにも専門的な知識があり、自社で行うよりも質の高い仕事が期待できます。なにより、棚卸しにとられる時間を省けるのは大きなメリットです。
確かに、棚卸しを外注すれば新たなコストがかかります。しかし、アルバイトやパートを確保し、従業員に連日の残業代を支払い続けるコストと比べたとき、外注の方がはるかに安く済むケースも多いのです。棚卸しが業務からなくなるぶん、従業員は通常業務に力を注げます。棚卸しの負担はアウトソーシングで解消し、現場に余裕を与えてみましょう。

 

 

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